2023-12-16
こんにちは。アダムス睦子です。
先月に続き、今日も皆さんに「時間管理」についてお話していきたいと思います。
いままで、様々な角度から「時間管理」についてお伝えしてくるなかで、先月、「子どもとの時間管理にまつわるコミュニケーション」の一助として、ひとつのメニューをもとにお話ししました。これが結構好評で、「そんな視点で子どもとそのメニューを作るなんて思ってもいなかった!」などのお声を頂きました。
ですので、今日は「パートナーと一緒につくるとおすすめのメニュー」を23年間職業として携わってきた私の専門分野である「食」とからめて、独自の視点を交えたお話をしていきたいと思います。
今日お話しするのは、「パートナーと作ろう!Let’s Cooking!!」のお話です。パートナーと一緒にクッキングを経験することで、結果的に、時間の流れそしてその延長線上で「時間管理」をしてくことの直感的な重要性がわかります。
ぜひ、肩の力を抜いて、読んでみてください。
「男子台所に立たず」の価値観
昭和、平成、令和と時代が進んできましたが、世の中にはまだまだ「男子台所に立たず」の価値観の男性も一定数います。私は、料理ができる男性は本当に素敵だと思うのです。
子どものころ、学校の友人が「今日の夕飯はお父さんのチャーハンなんだ!」などと喜々として話しているのを羨ましく思っていました。私の父親は、戦前生まれの「焼け跡世代」。加えて、誤解を恐れずにカミングアウトしてしまうと、日本でも有名な「男尊女卑」の都道府県の出身で、まったくキッチンに立つことはありませんでした。むしろ、お茶を淹れるのも「おーい、お茶!(※商品名ではありません)」と一声、という人間です。
今でこそ、お茶くらい自分で淹れますが、それは時代も変わり、家族の価値観も変化して、母からシバき倒されるから。恐らく根底ではまだまだキッチンに立つことに強い抵抗があるように見受けられるほどです。
他方で、私は仕事の一環として、定期的にフレンチのシェフに料理を教えてもらっていた時期が5年間ほどありました。男性の、ややオジサマのシェフでしたが、レシピはほぼ皆無、「こんな感じで作って、こんな感じで焼いて、こーんな感じで出来上がり。あとは味見て、作り方覚えておいて。」というような指南だったので、感覚をフル回転で付いていっていた記憶があります。
「男性」といえば、うちの父のようにまったくキッチンに寄り付かないか、私がついて習ったシェフのように超人的な手さばきで料理を進められる神腕前かの両極端な経験値。そんなことも相まって、「パートナーと調理をする」という概念はわたしの中にはイメージしにくい希薄なものでした。
パートナーと一緒にシェアしよう、料理の経験
調理って、人によっては癒しになるという人もいるようですが、私の場合は消して癒しではありません。なんというか、「自分のエネルギーをすごく注入している対象物」という理解でいて、それを食すると自分にも循環してエネルギーが戻ってきて補給できる感覚があるものなのです。しかし、作る工程だけ切り取ると、そのエネルギー注入量によって単純に疲れさせられる印象があり、ちょっとスポーツと似ているのです。
私の場合、平日はフルタイムで仕事ですから、土日にまとめて1週間分の作り置きメニューを大量に作るのですが、キッチンに立って調理をする時間は長いと一日8時間。単純に疲れても、それを食することでまた自分で自分の「元気」の循環が生まれる、そんな自己完結型ジョブが私にとっての「調理」なのです。
そんな「エネルギー注入量」ですが、例えば、豚汁なんかは、意外とかける工程が多くてエネルギー注入量が多い気がするのに、あくまで汁物の立ち位置から抜けられず、パフォーマンスが悪いと思うし、しょうが焼きなどは漬けておいて焼くだけなのに、食卓に出るとなんだか下へも置けない扱いをされてちやほやされ、パフォーマンスが良い。日常を送る中で、少しでも自炊をする方は、こんな「パフォーマンスの違い」を感じたことって、あるのではないでしょうか。
「これだけの時間とエネルギーをかけている」というインプットの量と、食卓にあがったときのチヤホヤ度というアウトプットの釣り合いが、パフォーマンスの良し悪しという形になるのですが、この「これだけの時間をかけている」という部分を、パートナーとシェアすることで、ぐっとチームワークやパートナーシップに深みや広がりが出るので、今日はそのおすすめのメニューをお伝えしていきます。
さまざまなメソッドや有名なフレームワークも存在している「時間管理」ですが、私が毎月お話ししていく「時間管理」にまつわるお話は確立された体系にのっとったものではありませんので、今日のお話もひとつの参考やひとつの視点として読んでいただければと思います。
ズバリ、おすすめのメニューとは
キーワードは、「パフォーマンスの悪さ」。先ほど挙げた「豚汁」のように、意外と手間とエネルギーがかかるけど、実はそうは扱われないことが多いメニュー・・これを作っていくのがミソになります。
例えば、おにぎりってありますよね。日本ではコンビニなどで150円程度の価格で買えますし、おにぎり専門店などでも100円くらいで買えるアイテムもあります。実はおにぎりもとても作り方が深いので、美味しいおにぎりを作ろうと思うと大変なのですが、それでも、極論、「ごはんにちょっと昆布でも入れて握れば100円そこらで食べられるもの」それがおにぎりなわけです。
一方で、餃子。6個300円くらいでラーメン屋さんなんかで食べられます。冷凍餃子だともっと安価。つまり、1個だいたい50円くらいで食べられるわけです。2個で、おにぎり1個分くらいなのだなと体感を持つわけですね。
しかし、餃子ってとてつもなくパフォーマンスが悪いと思うのです。まず、前の晩に、干し椎茸を水に浸してボールに入れ、冷蔵庫に一晩寝かせるところから始まるのが餃子。そして、野菜を小さく切って、ひき肉と混ぜてタネを作る。このタネも多すぎても少なすぎでもいけません。さらにこれを、皮に包み、さらにそれを焼く。
ここで初めていわゆる「焼き餃子」になるのですが、それをもし「餃子2個で、昆布おにぎり1個分程度のプロセスかぁー」と認識すると、それは大変なことになるでしょう。(※大喧嘩という意味です)
わたしの夫はイギリス人です。イギリスは、実はとても美味しい食べ物がたくさんあり、隠し持って自分たちだけで愛でているアイテムが多い国だと私は思うのですが、他方で、海外の料理、例えば中華料理も随分普及しています。
夫も中華料理の中で特にダンプリング(※餃子や、シュウマイ、小籠包などを総称してそう呼びます。)は大好物。なので、我が家でもよく作るのですが、一緒に作って初めて「こんなに工程があり、こんなに大変なんて・・・。よくこれを何十個も作るなあ・・。」と愕然していました。
子どもと作るメニューのコラムでもお伝えしてきましたが、このようにサラっと出てくる餃子1個1個が、「作り手の大切な時間を使ったうえで出てくるものなのか知ってもらうよい機会」になったのです。餃子は、包むときにも工夫が要り、コミュニケーションもしやすいですよね。人によってはひだが細かかったり、タネがたっぷりだったり、キャラクターも出やすいので食べるときにも話がはずみます。
これだけ時間を(行程を)かけているという部分をパートナーとシェアすることで、無意識にパクパク食べられていたかもしれない食卓にあがった餃子たちが、誇らしく輝く様子が目に浮かびます。時間管理の大本は、「大切な時間をどこに投入するか」ですが、餃子がいかに大切な時間をかけられて今そこに存在しているのか、もちろん餃子ではなくてもよいですが、そんな視点でパートナーと一緒に調理をしてみてください。
今回のコラムはいかがでしたでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございます。それではみなさん、また次月に!
時間管理アドバイザー
アダムス睦子